所長ブログ 2026年

R8.6.17    源泉徴収ってそもそも何ですか?個人事業主・新設法人向けに税理士がやさしく解説

源泉徴収とは何か、給与・賞与・報酬で計算がどう違うのか、納付期限や徴収を忘れたときの注意点までを、税理士が個人事業主・新設法人向けにやさしく解説します。創業期や初めて人を雇う方に役立つ実務の基本をまとめました。

6月、ようやく一息と思ったら

6月になりましたね。

3月決算法人さまの申告も無事に終わり、事務所の中も少しだけ落ち着いた空気が流れ始めています。「さて、今月の所長ブログは何にしようかな」と思っていた矢先に相続税申告のご依頼をいただきました。相続のご相談は、ご家族のお気持ちが整理しきれていないタイミングでいただくことも多く、できるだけ早く、丁寧に対応したい、といつも思っています。


そんな少しバタついた合間ではあるのですが、最近、創業されたばかりの個人事業主さまや、新しく会社を設立されたお客さまから、源泉徴収についてのご相談が増えています。

「源泉徴収ってよくわからなくて……」

「税理士さんに払う報酬って、源泉徴収するんですか?」

──こうしたお声に応える形で、今回は源泉徴収の基本を、できるだけやさしくまとめてみました。

源泉徴収とは

源泉徴収とは、ひと言でいうと、

「お金を払う側が、税金を少し預かって、本人の代わりに国に納める仕組み」

です。

本来、税金は本人が計算して、自分で申告して納める「申告納税」が原則です。ただし給与や一部の報酬については、支払う側が支払う時点で税金分を差し引いて納める方法が採られています。

イメージでいえば、「あとでまとめて集めると忘れたり払えなくなったりするから、配るときに先に少し預かっておく」仕組みです。

なぜこの仕組みがあるのか

源泉徴収制度は昭和15年に導入された、歴史のある制度です。目的は大きく2つ。

ひとつは税金を確実に集めるため、もうひとつは納税者の負担感を軽くするためです。

年末にまとめて払うより、毎月少しずつ差し引かれる方が、心理的にも家計的にも楽になります。源泉徴収は、国と納税者の両方にメリットがある仕組みなんですね。

個人事業主にも関係あります

「うちは法人じゃないし、関係ないですよね?」と聞かれることがありますが、これは正確ではないことが多いです。

個人事業主の方でも、

 • 従業員に給与を支払っている

 • 個人の税理士・弁護士・司法書士などへ報酬を支払う

 • 個人のライター・講師へ原稿料・講演料を支払う

といった場面では、源泉徴収が関係します。

創業されたばかりの方や、これから人を雇うご予定のある方は、早い段階で自分の事業に源泉徴収が関係するかを整理しておくことを、いつもおすすめしています。

給与・賞与・報酬で計算の考え方が違います

源泉徴収は、すべて同じ計算ではありません。ここがいちばん混乱しやすいので、ポイントだけ整理します。

給与の源泉徴収

給与は、「一律〇%」ではなく、国税庁が公表している源泉徴収税額表を見て決めます。

おおまかな流れは、

 1.総支給額から社会保険料などを差し引く

 2.扶養親族の人数と扶養控除等申告書の提出有無を確認する

 3.該当する税額表(月額表・日額表)の欄を見る

つまり、「税率を暗記するもの」ではなく「表を見るもの」です。


賞与(ボーナス)の源泉徴収

賞与は、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」という別の表を使います。

流れは、

 1.前月の給与から社会保険料等を差し引く

 2.その金額と扶養人数で、賞与にかける税率を表から探す

 3.(賞与 − 社会保険料等)× 税率 = 源泉徴収する税額

前月の給与水準をもとに、今回のボーナスの税率を決める、と覚えるとシンプルです。


報酬の源泉徴収

報酬は、給与と違って税率で計算します。原稿料、講演料、税理士・弁護士・司法書士などの個人への報酬が対象です。

 • 100万円以下の部分:10.21%

 • 100万円を超える部分:20.42%

たとえば、税理士に150万円の報酬を支払う場合は、

(150万円 − 100万円)× 20.42% + 102,100円 = 204,200円

が源泉徴収すべき税額になります。


なお、「外注費なら全部源泉徴収」ではありません。法律で決められた特定の報酬が対象です。Webコーディング、デザイン、清掃、運送などは必ずしも対象とは限りません。

納付期限と「納期の特例」

源泉徴収した所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに納付します。

ただし、給与の支給人員が常時10人未満の事業者は、申請をすれば年2回にまとめて納付できる「納期の特例」を受けられる場合があります。創業まもない方には、毎月の事務負担を大きく軽くしてくれる制度です。

「徴収し忘れていました」を軽く見ないでください

ここはとくに強調したいところです。

源泉徴収を「うっかり忘れていた」というケースは、実は珍しくありません。創業直後の税理士報酬や、外部の専門家への報酬の支払いで起きやすいです。

ただ、忘れたからといって、その税金は消えません。

納付が遅れれば延滞税がかかり、状況によっては不納付加算税といったペナルティが上乗せされることもあります。とくに怖いのは、税務調査で指摘されてから慌てて納めるパターンです。

「もしかして漏れていたかも」と感じた段階で、早めに専門家と一緒に整理することを強くおすすめします。

源泉徴収は、税金を整理するための仕組みです

源泉徴収は、最初は難しそうに見えますが、本質はとてもシンプルです。

「支払うときに、税金を少しだけ預かって国に届ける」、それだけです。

 • 給与・賞与・報酬で計算ルールが違う

 • 納付期限がある

 • 忘れると延滞税などのリスクがある

この3つを押さえておくだけでも、実務はかなり整理しやすくなります。創業期や、これから人を雇うご予定のある方ほど、早めに全体像をつかんでおくと、あとが本当に楽になります。

最後に

源泉徴収について、

 • 自分の事業に当てはまるか不安

 • 給与計算や報酬の支払いをこれから始めたい

 • 過去の徴収漏れが気になる

そんなときは、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

今月も、皆さまの事業が一歩前に進む月になりますように。


なお、今回の内容は、YouTubeでも同じテーマで解説しています。

動画の方が頭に入りやすいという方は、よろしければこちらもどうぞ。

(配信は7月予定です)

http://www.youtube.com/@ChieChika_Ama_Sisters

Youtube

R8.5.11     副業・フリーランスの「これって経費になりますか?」税理士の私がいつもお伝えしている考え方

こんにちは。税理士の今井です。

5月ももうすぐ半ば。事務所では3月決算対応が続いていて、毎年のことながら、慌ただしい日々を過ごしています。


そんな時期ですが、副業やフリーランスの方からは、決算とはまた別によくいただく質問があります。
それが、「この支出って、経費にしていいんでしょうか?」 というご相談です。副業やフリーランスとして収入を得るようになると、

多くの方が一度は「この支出は経費にしてよいのか」と悩まれます。


カフェ代、スマートフォン代、通信費、パソコン代、書籍代、自宅家賃などは、仕事にも使っている一方で私生活とも重なりやすく、判断が難しい支出です。

この記事では、副業・フリーランスの経費について、税理士の視点から、経費になるもの・ならないものの基本的な考え方をわかりやすく整理します。

確定申告の準備を進めるうえでも、まず押さえておきたいポイントです。

副業・フリーランスの経費とは?まずは基本的な考え方を確認

経費になるかどうかを考えるうえで、最初に大切なのは、

その支出が売上を得るために必要なものかどうかという点です。


ただし、実際の副業やフリーランスの仕事では、仕事と私生活が重なりやすい支出が少なくありません。
そのため、「使ったから全部経費になる」とも言えませんし、「私用も含まれるから全部ダメ」とも限りません。


経費判断では、次の3つの視点で整理すると考えやすくなります。

・仕事との関連性があるか

  その支出が、現在の業務や事業収入に関係しているかを確認します。

・私用分と分けて考えられるか

  仕事と私生活の両方で使っているものは、仕事で使っている部分だけを按分して考えます。

・内容を自分で説明できるか

  なぜその支出が仕事に必要だったのかを説明できることが重要です。領収書や明細に加えて、用途のメモも役立ちます。

経費判断で大切なのは「領収書」だけでなく「説明できること」

副業やフリーランスの経費相談では、「領収書があれば経費になりますか?」という質問をよくいただきます。

もちろん証憑書類は大切ですが、それと同じくらい重要なのが、
その支出の内容と必要性を説明できることです。

たとえば同じカフェ代でも、取引先との打ち合わせに使った場合と、私的な休憩で使った場合では意味が異なります。
形式だけで判断するのではなく、実際の利用目的に沿って整理することが大切です。

副業の経費も、フリーランスの経費も、
「どれだけ多く入れるか」ではなく、「どれだけ適切に整理できるか」が重要になります。

副業・フリーランスでよくある経費の具体例


ここからは、実際によく相談のある支出について、経費になるもの・ならないものの考え方を具体的に見ていきます。


《カフェ代は経費になる?副業・フリーランスで迷いやすい支出》

カフェ代は、仕事のために利用した場合には経費になる可能性があります。たとえば、次のようなケースです。

取引先との打ち合わせ、外出先での業務対応、納品前の資料確認や作業など、仕事との関連性が明確な場合は、経費として考えやすくなります。
一方で、単なる休憩や私的な利用であれば、通常は経費として整理しにくくなります。
大切なのは、カフェを使ったこと自体ではなく、その利用目的が仕事に関係しているかどうかです。


《スマホ代は経費になる?仕事用と私用が重なる場合の考え方》

スマートフォン代は、副業でもフリーランスでも非常に相談の多い支出です。

顧客との連絡、業務用SNSの発信、電話やチャット対応などに使っている場合は、経費計上の対象になり得ます。
ただし、私用でも使うことがほとんどなので、通常は全額ではなく、仕事で使っている割合に応じて考えることになります。
スマホ代の経費処理では、厳密さよりも、なぜその割合にしたのかを説明できることが大切です。


《Wi-Fi代・通信費は経費になる?在宅ワークでの判断基準》

自宅のWi-Fi代や通信費も、業務上必要であれば経費の対象となる可能性があります。
特に在宅で副業をしている方や、フリーランスとして日常的にオンライン業務を行っている方にとっては、通信環境は欠かせません。

ただし、生活インフラとしての性格も強いため、通常は仕事で使用している部分を按分して考えます。
「仕事にも使っている」だけでなく、「どの程度仕事で使っているか」 を意識して整理することが大切です。


《パソコン代は経費になる?購入時に注意したいポイント》

パソコン代は、仕事に利用しているのであれば比較的わかりやすい支出です。
ライティング、デザイン、経理、資料作成、オンライン会議など、多くの業務において必要性が高いといえます。

ただし注意したいのは、購入金額によって処理方法が変わる場合があるという点です。
そのため、パソコン代については「経費になるかどうか」だけでなく、どのように処理するか まで含めて確認しておくと安心です。
青色申告をされている方なら40万円未満までは一括経費にできます。


《書籍代は経費になる?勉強のためだけでは足りない理由》

書籍代は、内容によって判断が分かれやすい支出です。

業務に必要な専門書、実務書、マーケティングや営業に関する書籍、業界知識を深めるための資料などは、
仕事とのつながりが明確であれば経費として考えやすくなります。

一方で、娯楽目的の書籍や、私的な興味関心にとどまる内容のものは、通常は経費として整理しにくいでしょう。
副業やフリーランスの書籍代については、「勉強のため」だけでなく、「今の仕事とどう結びつくか」を意識することが大切です。


《セミナー代・講座代は経費になる?比較的考えやすいケース》

セミナー代や講座代は、業務に必要な知識やスキルの習得が目的であれば、比較的整理しやすい支出です。

実務知識を学ぶ講座、集客や営業に関する勉強会、ソフトウェアの操作研修、業界動向を把握するためのセミナーなどは、仕事との関係を説明しやすい項目です。
ただし、自己啓発的な内容が中心で、現在の仕事との関連性が薄い場合には慎重な判断が必要です。


《自宅家賃は経費になる?副業・在宅ワークでの考え方》

自宅で仕事をしている場合、自宅家賃を経費にできるかどうかは大きな関心事のひとつです。

自宅家賃は、仕事に使っているスペースや時間、利用実態に応じて按分して考えるのが基本です。
仕事専用スペースがあるか、継続的にその場所で業務をしているか、住居の中で仕事に使っている部分を説明できるかといった点が判断材料になります。
ただし、自宅家賃は生活費としての側面が強いため、無理のない範囲で慎重に整理することが大切です。

副業・フリーランスの経費で迷ったときの判断基準

経費になるものかどうかで迷ったときは、「その支出がなければ、仕事に具体的な支障が出るか」という視点で考えると整理しやすくなります。

たとえば、業務が進まない、顧客対応に支障が出る、売上に影響する、仕事に必要な環境が整わない、と説明できるものであれば、
仕事との関連性を考えやすくなります。

一方で、私生活の延長で使っているもの、なくても特に困らないもの、仕事内容との関係を説明しにくいものは、経費とみなされません。

副業・フリーランスの確定申告では、完璧より丁寧な整理が大切

副業やフリーランスの方の中には、「間違えたくないので何も経費にしていない」という方もいらっしゃいます。

反対に、「少しでも仕事に関係があれば全部経費にできる」と考えてしまうのも適切ではありません。

確定申告に向けた経費整理で大切なのは、極端にならず、実態に合わせて丁寧に整理することです。

領収書を保管するだけでなく、利用目的のメモを残す、按分の考え方を記録するなど必要になります。

まとめ|副業・フリーランスの経費は「関連性・按分・説明」で整理する

副業やフリーランスの経費について迷ったときは、まず次の3点を確認することが大切です。

・仕事との関連性があるか。
・私用分と分けて考えられるか。
・自分で説明できるか。

この3つを意識することで、経費になるもの、ならないものの整理がしやすくなります。

「何でも経費にする」「不安だから一切経費にしない」のどちらでもなく、実態に即して、無理のない範囲で丁寧に処理することが、
結果として最も安心できる対応につながります。


《注記》

※本記事は一般的な考え方を整理したものであり、個別具体的な事案について結論を示すものではありません。
実際の税務判断は、仕事内容、利用状況、金額、資料の保存状況などによって異なります。必要に応じて、最新の制度確認や個別相談をご検討ください。


R8.5.1 4月になりましたね。(いや、気付けば5月です・・!)

ここ新しい環境やスタートに、ワクワクされている方も多いのではないでしょうか。


我が家でも、息子が中学校に入学しました。


「クラブは何にするの?」なんて話をしながら、

これから広がっていく世界に、いいなぁと少し羨ましくなったりもしています。
そんな息子の新生活に便乗して、

私もなんだかフレッシュな気持ちを分けてもらっています。


仕事の方はというと、確定申告がようやく一段落して、ホッとしているところです。

後回しにしていたこのブログも、やっと書けました。


正直、まだあまり読まれていないかもしれませんが(笑)、

それでもこうして書くことで、気持ちが整う感じがしています。


今日はこれからTikTokの撮影です。
税法は本当に日々変わっていくので、お伝えしたいことがどんどん増えていきます。


最近だと、償却資産の特例が30万円から40万円へ引き上げられました。

(詳しくはYouTubeでもお話ししています)

その流れもあって、事務所のパソコンの買い替えも検討中です。
デスクトップだと30万円を超えるものも多くてびっくりしましたが、

利益が出ている会社にとっては一括で費用にできるのはありがたいですよね。


新しい季節。


大きなことじゃなくても、少しずつ前に進んでいけたらいいなと思っています。